第1回インタビュー「こどもたちの健やかな育ちの保障」のために”つなぐ”こと〜未来のために今を創る ②(全3回) 

子育てに不安を感じたら市民健康課の子育て世代包括支援センターなどに気兼ねなく電話してみて下さいね。この記事の終わりに連絡先を掲載します。
(この記事は2分で読めます)

[インタビュー内容] 
1.子育てに関する活動での団体または個人におけるMissonは何ですか。
2.身の回りの子育て(0歳~10歳くらいまで)に関して気になっていることは、どのようなことですか。
3.耳に多く入ってくる子育て中の悩みは何ですか。
4.男性にどのように育児に協力してもらえば女性の負担が減ると考えますか。
5.どのような社会になれば出産や子育てに積極的になれると思いますか。


榊原久子さん
埼玉県 臨床発達心理士、保育士、幼稚園教諭
新渡戸文化短期大学 乳幼児発達心理学研究室 准教授
(社福)つばさ福祉会保育園版ネウボラ事業統括
にっぽんネウボラネットワーク代表
オンラインまちの赤ちゃん保健室 発起人


”アタッチメント”が足りないと感じても取り戻せる

– 4の質問 男性にどのように育児に協力してもらえば女性の負担が減ると考えますか?

榊原さん 
パートナーには、妻にとっての安心安全の基地となってほしいです。

赤ちゃんの心の育ちと密接に関わる脳の育ちは、1歳半までが臨界期と言われています。(※3 数井みゆき・遠藤利彦2005)

高次認知と言って、我慢する(高次認知)、感情をコントロールする、感情を読み取るなどの脳の部分は、その育ちが1~5歳までがピークと言われています。アタッチメントが形成される臨界期となる1歳半までの時期に、養育者が子どもの発信を適切にキャッチし子育てをすすめていくことは、豊かなアタッチメントの形成に必要な要素であることが、脳科学の研究からもうかがうことができます。(※4 白川嘉継 2013、※2 友田明美2017)

たとえば、フィンランドや、スェーデンなど、国民の幸福度が上位に挙がる国においてはでは、0歳児期は家庭で子どもを育みます。保育園等に、子どもを預けないことがほとんどです。
0歳児を育てる養育者が、こどもとの関わりを充分におこなえるためには、家族の経済活動やキャリアを保障する制度(育児休暇制度)等が整っていることも必須要件だと感じています。

アタッチメントの臨界期と示される1歳半までに、養育者どれだけゆっくり赤ちゃんに向き合えるか、その環境が整えられているかがとても大切です。ゆえに、生後間もない時期は、ママが授乳や赤ちゃんのお世話にゆったりと臨める環境を作ってあげることが大切なパパの役割といえるでしょう。


– ここまで聞くと自分の子どもとの関わりが不安になってきました。アタッチメントが足りないと気付いたらリカバーできますか?

榊原さん 
就学前までに丁寧なケアと関わりをおこなうことで、アタッチメントの再形成を図れることがリ研究から示されています。(※5 米澤好史 2019)


具体的に丁寧なケアと関わりについては、次のような関わりが挙げられます。

  • 視線の先にあるものを言葉にしてあげる。

「そっか〇〇なんだよね」と子どもの言葉を、そのまま受け止めてあげて繰り返してつたえてあげる。たとえば、お友だちと喧嘩して傷ついている子どもの発言に対して「お友達と喧嘩しちゃったの!えー!?なんでそんなことしたの。あなたもいけないでしょ」 などの子どもを評価する言葉をつたえることはしない。

 

  • 関係性の欲求を満たしてあげる

人間には、食欲や睡眠欲同様に、関係性の欲求をもっています。この関係性の欲求を適切に満たしてあげる事が、アタッチメントの形成にはとても大切です。例えば、子どもを抱きしめてあげる。言葉にできないモヤモヤとした気持ちを、大人が言葉で表現して(気持ちの通訳)子どもに伝えなおしてあげる。子どもが発した言葉ことを、その場で繰り返してあげる。

抱きしめたり、子どもの言葉を繰り返して言うなどは、日常の中で、特別なことではないのでしょうけど、慌ただしい生活の中で、子どもの発信をキャッチするタイミングが、大人のリズムを中心として動いている日常からそぎ落とされがちだったりもします。

もちろん、1日中こどもの発信をキャッチして、適切に応答していくことは現実的ではないので、食事中だけ10分でも入浴や睡眠前のほんのわずかな時間を活かして就学前まで意識的に日常に取り込みながら繰り返し対応を重ねていくことが心の土台作りへとつながっていくと感じています。



– 発達の凸凹がある子どもが増えていることとアタッチメント不足の関係性があると聞きました。詳しく教えて下さい。

榊原さん 
アタッチメントが適切に形成されていないことで、反応性愛着障害に至っているお子さんが顕在化しています。

友田明美(2017)先生の研究では、不適切な養育をうけた子どもは、脳の発達が阻害されることがMRIの検査から明らかになり、併せて、その子どもたちの特徴として、器質的な発達障害をもつお子さんとと同様の行動的特徴、感情表出の特徴がみられることが明らかにされています。

生まれつきの脳の器質的課題ではなく、関係性の中で形成されてしまう発達障害的特徴として、たとえば、常態的に落ち着きがなく注意散漫である多動性の傾向や相手の気持ちをくみ取ったり、イメージすることが難しいコミュニケーション障害、などがあげられます。

繰り返しますが、上記のような子ども自身の生きづらさが親子の関係性の中で育まれてしまう場合があるそれは感情を掌る脳の部位が委縮して育っていないなど、脳医学の研究結果からも表れています。

子どもの健やかな育ちを促すためには、養育者の適切な関わりが、どれだけ大切かを改めて痛感させられます。



– 最近発達障害やグレーゾーンと言われるお子さんについて、8年ほど前(当団体の設立初期)にくらべてみると保育園、幼稚園、小学校で発達障害のお子さんが増えたように思っていました。

榊原さん 
発達障害が増えていることは、※6文科省の統計(2018)からもしめされてはいるのですが、それらはアタッチメント形成不全による反応性愛着障害だけでなく、小さく生まれた赤ちゃん(極低出生体重児・低出生体重児)に増えていることも、最近の研究で明らかになってきています。(※7 河野由美2017)

河野先生の研究によると、正期産で生まれたこと比較して低体重で出生した場合、その後の発達障害の発症率が2倍であることが示されています。

[引用、参考文献]
※3 数井みゆき・遠藤利彦 「アタッチメントー生涯にわたる絆」 2005 ミネルヴァ書房
※4 白川嘉継 「人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まるー人生で一番大切な3歳までの育て方」 2013 東洋経済新報社
※5 米澤好史 
「愛着障害・愛着の問題を抱える子どもをどう理解し、どう支援するか?-アセスメントと具体的支援のポイント51」 2019 福村出版
※6 文科省 2018 「通級により指導を受けている児童生徒数―推移 平成5年~平成29年」統計
※7 河野由美 2017「早産・低出生体重児の発達障害」 医学のあゆみ(3)、231-236

 

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