第1回インタビュー「こどもたちの健やかな育ちの保障」のために”つなぐ”こと〜未来のために今を創る③ (全3回)

最後に榊原さんのインタビューのまとめを掲載しております。
また、子育てに不安を感じたら市民健康課の子育て世代包括支援センターなどに気兼ねなく電話してみて下さいね。この記事の終わりに連絡先を掲載します。
(この記事は2分で読めます)

[インタビュー内容] 
1.子育てに関する活動での団体または個人におけるMissonは何ですか。
2.身の回りの子育て(0歳~10歳くらいまで)に関して気になっていることは、どのようなことですか。
3.耳に多く入ってくる子育て中の悩みは何ですか。
4.男性にどのように育児に協力してもらえば女性の負担が減ると考えますか。
5.どのような社会になれば出産や子育てに積極的になれると思いますか。


榊原久子さん
埼玉県 臨床発達心理士、保育士、幼稚園教諭
新渡戸文化短期大学 乳幼児発達心理学研究室 准教授
(社福)つばさ福祉会保育園版ネウボラ事業統括
にっぽんネウボラネットワーク代表
オンラインまちの赤ちゃん保健室 発起人


– 最後に5の質問です。
  どのような社会になれば出産や子育てに積極的になれると思いますか。

榊原さん 政府の子育て支援施策を辿ると「エンゼルプラン」以降継続的に立案、制定され続けていることが理解できます。しかしながら、制度は変遷をたどるものの、育児期家族に潜在している母親としての在り方やライフデザインに対する悩み、ワンオペ育児と称される、社会のみならず、家庭内においても孤立化しがちな母親の存在、育児不安、育児困難など、子育てに対するしんどい感情が30年経た現在も、しんどさの質がほとんど変わっていないという事実があります。

育児困難、育児不安が社会的課題として認知されたのは、1999年牧野カツコ教授(お茶の水女子大学名誉教授)の研究が挙がってのちでした。歴史的に見ても、子育てと介護は家庭のなかでおこなわれてきたものでした。多世代で形成された大家族だからこそ、家庭内でおこなうことができた。育児や介護には、多くの視点や手が必要です。一人の人だけで成し得ることができるものではないです。

しかしながら、現代は違います。核家族主流となり、働き方も多様化していす。従来当たり前とされてきた、「育児は家族で」からのものから「子育ては社会で」へと変化していく必要があると思うのです。

※1994年12月、文部・厚生・労働・建設省4大臣の合意により「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」が策定され、政府の子育て支援対策とした。

なぜ制度サービス支援も変わってきたのに女性の子育てへの悩みが変わらなかったのか、根底に流れているものがなぜ変わらなかったのか、なぜなのかを追いかけ続けました。

そこには、日本の昔から変わらない「人に迷惑をかけない」「和を尊ぶ」との他者との関係性の文化が影響しているのだと気がつきました。周囲の輪から外れないことを美徳とされる。他者と画一であることが評価される文化です。教育の中でも、それが刷り込まれていきます。

一方で、前掲した国民の幸福度が高い福祉と教育の先進国を見てみると、乳児期から一貫した「自分で考えて決めて行動できる力を育む」教育が普遍的におこなわれています。自分で考えて決める力が身についています。評価軸が他者ではなく、自分自身。だからどの世代も幸福度が高いのではないかと感じています。乳児期から、その考え方に日常的に触れながら子どもたちは育ちます。

つまり、こども達は親からも「一人の人」として決定権が尊重されているのです。

このように、「自分で考えて決めたこと」を周囲の大人たちに大切に扱ってもらいながら育つ文化の土壌があります。大切に育てられた子どもは、世代間伝達し、次の世代も大切に子どもを育てていきます。

当たり前ですが、大切に育てられた子どもは、自らの意思と判断でより良く生き、より良き社会人となり、自分の人生を大切に思いながら生きることができる人間となっていくのです。前述した通り、日本はそういう文化ではありません。

人に迷惑をかけない文化です。個性を大切にする教育と謳う一方で、周りに迷惑をかけないようにと、常に周囲へのアンテナを張りながら行動することが求められ、評価される。大切にする基準が「自分の気持や意見」ではなく「周囲の気持や意見」の文化です。

これが、子育てのしんどさにつながっていると私は感じています。

結果的に、「うちの子ちゃんと育っているだろうか?」「私は親としてちゃんとできているだろうか?」「うちの子どもの育ちは、周りからどのように評価されているだろうか?」 など、周りからの評価を基準として子育てをすすめている傾向があります。これはしんどいですよね。

では、そのしんどさを和らげていくためにはどうしたらよいのか。

それはやはり、誰かに「助けて」と言えるところから始まると思うのです。
とはいえ、育児に追われる中で、自分から言うこと(相談すること)が難しかったり、大変な状況に陥っているのに、本人が気づけないこともある。そんなときは、気づいた周囲の人が、専門家につなげてあげてほしいのです。

子育ては、毎日が想定外のことだらけです。想定外のしんどさに囚われてしまった時に、身の回りの誰かに気づいてもらえるように、近隣の子育て広場や子育て支援センターなどを上手に活用して、いざというときに、気づいてもらえるように、保育士や保健師、子育て支援センターのスタッフなど育児の応援者とつながっていてもらいたいと、心から願っております。

★アタッチメントの土台が形成される1歳半頃までの間、第一養育者である母親が子どもの発信に丁寧に対応することができる環境をパパや家族、社会が整えてあげれば、子どもの良い育ちにつながり、より良き社会人となる循環が出来ていくようなります。そして、幸福度の高い社会になり、子育てをしたくなる社会が築けるようになるということです。

 

[引用、参考文献]
※1 遠藤利彦 「赤ちゃんの発達とアタッチメント」 2017 ひとなる書房
※2 友田明美 「子どもの脳を傷つける親たち」 2017 NHK出版新書
※3 数井みゆき・遠藤利彦 「アタッチメントー生涯にわたる絆」 2005 ミネルヴァ書房
※4 白川嘉継 「人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まるー人生で一番大切な3歳までの育て方」 2013 東洋経済新報社
※5 米澤好史 
「愛着障害・愛着の問題を抱える子どもをどう理解し、どう支援するか?-アセスメントと具体的支援のポイント51」 2019 福村出版
※6 文科省 2018 「通級により指導を受けている児童生徒数―推移 平成5年~平成29年」統計
※7 河野由美 2017「早産・低出生体重児の発達障害」 医学のあゆみ(3)、231-236
・大河原美似 「ちゃんと泣ける子に育てよう」 2006 河出書房新社

(全3回の引用をまとめて掲載しております)

 

 

★赤ちゃんとの生活で不安が出た時は無料相談できる場所があります

鎌倉市市民健康課    乳幼児と乳幼児のママに関する相談を電話でできます   

鎌倉市助産師会     オンラインでの相談会がしばらくの間無料で開催中

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